相談者 | 女性(50代) / 福岡市在住 / 兼業主婦 |
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事故態様 | 歩行者対車 |
傷病名 | 外傷性脳内出血、多発性肋骨骨折、外傷性気胸 |
後遺障害等級 | 加重9級 |
サポート結果 | 後遺障害等級認定サポート、示談交渉により約285万円総額 |
主な損賠項目と賠償金額
傷害慰謝料 | 約198万円 |
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後遺障害慰謝料 | 約320万円 |
逸失利益 | 約970万円 |
休業損害 | 約78万円 |
総賠償額 | 約1840万円※ |
相談・依頼のきっかけ
福岡市にお住まいの50代の女性が、午後5時ごろに青信号の横断歩道を渡っていたところ、右折してきた2トントラックに衝突される交通事故に遭いました。
女性は事故以降、事故前には問題なく行えていた簡単な計算ができなくなったり、記憶を保持することが難しくなったりといった症状に悩まされ、仕事にも支障を感じていました。
さらに、入院中には家族にすべての家事を任せたこと、遠方から荷物を届けてもらったこと、何より心配をかけてしまったことを申し訳なく感じており、精神的な苦痛に対する適切な賠償を求めてたくみ法律事務所にご相談いただきました。
当事務所の活動
女性は多忙な仕事の合間を縫って病院に通い、経過観察と服薬を継続していました。
事故からおよそ2年半が経過した頃に、外傷性脳出血の後遺症として記憶障害が残っているとの診断を受け、症状固定の判断が下されたため、後遺障害の申請に踏み切ることとなりました。
申請にあたっては、事故直後に診察を行った医師から「頭部外傷後の意識障害についての所見」を、症状固定の判断を行った医師からは「後遺障害診断書」と「神経系統の障害に関する医学的意見」を作成していただきました。
あわせて、女性と同居しているご家族にもご協力いただき、日常生活における支障についての報告書も準備しました。
弊所では、医療機関が保有していた診療記録や脳波画像なども収集し、必要書類とともに申請書に添付して提出しました。
当事務所が関与した結果
その結果、記憶障害が「神経系統の機能または精神に障害を残し、就労能力が相当程度に制限される状態」として後遺障害9級10号に該当すると認定されました。
ただし、女性には幼少期に頭部を負傷した既往歴があり、事故前から脳挫傷の痕が残っていたと判断されたため、既存障害として12級13号が認められました。
そのため、現時点での障害が9級10号であっても、既存障害を考慮して加重障害として扱われることとなりました。
後遺障害の認定結果をもとに、相手方保険会社との間で示談交渉を開始しました。
争点となったのは主に慰謝料(傷害・後遺障害)と逸失利益の算定でした。
加害者側は、加重障害と判断されたことを根拠に、後遺障害慰謝料を9級と12級の差額の8割、逸失利益については喪失期間を当方の主張どおり認めたものの、喪失率については9級の35%から12級の14%を差し引いた21%とする回答を提示してきました。
さらに、傷害慰謝料についても裁判基準の8割に留めるという内容でした。
弊所では、女性の既存障害は幼少期のものであり、事故前の生活や就労に何ら支障がなかったことを強調し、既存障害として考慮するのは妥当ではないと主張しました。
結果として、後遺障害は9級を前提とすべきであるとの立場から粘り強く交渉を続け、最終的には当初の提示額から285万円ほどの増額を実現することができました。
依頼者が早期解決を希望していたことや、仮に裁判を行った場合には加重障害が改めて認定される可能性もあることから、最終的には示談による解決が最善と判断しました。
弁護士の所感(活動のポイント)
本件では、交渉の初期段階から加重障害を前提とした請求を行っていた場合、ここまでの増額は難しかったと考えられます。
依頼者にとって最も有利となる主張の方向性を見極め、相手方に対して一貫性と説得力のある主張を行うことが増額交渉のカギとなりました。
交渉を進める中で、どの立場をとれば依頼者の利益が最大化されるのかを徹底的に検討したことが、良い結果につながったと感じています。
- 投稿タグ
- 9級, 後遺障害等級認定サポート, 歩行者, 頭, 高次脳機能障害