相談者女性(40代 / 家事従事者 / 福岡県大野城市)
事故態様歩行者対自転車
傷病名急性硬膜外血腫、外傷性くも膜下出血、頭蓋骨骨折、全身打撲等
サポート結果後遺障害併合8級認定

主な損賠項目と賠償金額

傷害慰謝料190万円
後遺障害慰謝料810万円
後遺障害逸失利益2300万円
休業損害245万円
総賠償額約3600万円(自賠責保険金含む)

事故発生からご依頼まで

弁護士桑原

大野城市にお住まいの40代の女性が、青信号で横断歩道を渡っていた際、赤信号を無視して進行してきた自転車に衝突されました

女性は緊急搬送され、搬送先の病院で血腫を除去するための緊急開頭手術を受け、そのまま約1か月間の入院となりました。

その後、転院してのリハビリが必要とされましたが、幼いお子様の精神的負担を考慮し、入院中に懸命にリハビリに取り組まれ、早期退院を果たされました。

その後も約1年半にわたり治療を続けられ、最終的に症状固定の判断が下されました

今回の事故は、自転車が相手であったため自賠責保険がなく、通常の後遺障害認定手続き(被害者請求)ではなく、相手方の加入する任意保険会社に後遺障害の判断を依頼する必要がございました。

女性が当事務所にご相談くださったのは、後遺障害申請の準備段階で、後遺障害診断書の内容が問題ないか、またこのまま申請手続きを進めてよいのかについて不安をお感じになっていたためです

そこで、後遺障害申請の手続きから賠償額の交渉まで、当事務所でサポートさせていただくことになりました。

当事務所の活動

ご依頼をいただいた時点では、すでに症状固定の判断がされており、後遺障害申請手続きに必要な資料をご準備されている段階でございました。

被害者様には、事故による頭部受傷に伴う物忘れなどの症状、頭痛薬を常用するほどの頭痛やめまい、耳鳴りや足のリウマチ症状など、複数の症状が残っている状態でした

相手方任意保険会社からは、後遺障害に該当するかの審査にあたり後遺障害診断書は1通のみの提出と案内があり、被害者様も耳鼻科での診断書のみを作成され、他の症状については診断書を作成しておられませんでした

しかし、この案内は誤りで、診断書は症状ごとに異なる診療科で作成し、審査に提出することが可能です。

そこで、後遺障害診断書の作成が未了であった脳神経外科(物忘れや頭痛等の症状)及び整形外科(リウマチの症状)に診断書作成を依頼いたしました。

また、物忘れ等の症状については、近親者に日常生活状況の報告書をご記入いただき、被害者様とご家族のご協力を得て必要書類を揃え、相手方任意保険会社に提出し後遺障害等級の判断を依頼いたしました。

初回の判断では、頭部受傷に伴う症状について14級、難聴と耳鳴り、リウマチの症状については非該当との判断でしたが、残存症状から判断すると適切ではないと考え、調査機関に精査を依頼しました。

その結果、上位の後遺障害等級に覆る可能性があるとの意見をいただいたため、相手方任意保険会社に異議申立てを行う方針といたしました。

また、本件には自賠責保険が適用されないため、認定結果は任意保険会社内の判断にとどまるものでした。

そのため、被害者請求時と同様に専門の調査機関(自賠責損害調査事務所)による調査を要望し、最終的には相手方任意保険会社も専門調査機関での審査に応じる形となりました。

当事務所が関与した結果

被害者様に追加検査等にご協力いただき、異議申立ての結果、頭部の症状について9級、耳鳴り等の症状について12級と認定され、併合8級を獲得することができました。

併合8級を前提に被害者様の賠償額を算定し、相手方任意保険会社との示談交渉を進めました。

逸失利益については当方の請求額に近い回答を得ることができましたが、主な争点は慰謝料(傷害慰謝料・後遺障害慰謝料)でした。

相手方保険会社は、裁判基準の9割以上の慰謝料は難しいとの見解でしたが、被害者様とご家族の事故後の精神的・肉体的苦痛を主張し、増額交渉を続けた結果、裁判基準満額に近い金額まで増額することに成功いたしました。

最終的に、裁判のリスクと見込まれる賠償額を考慮し、示談を成立させました。

弁護士の所感(解決のポイント)

後遺障害申請では、残存症状ごとに必要な検査を受けることが、適切な後遺障害等級の認定のために重要となります。

被害者様ご自身では情報収集が難しい場合が多く、当事務所では多くの後遺障害申請サポートの実績があるため、適切な等級を取得するための支援ができました。

また、近年増加する自転車と歩行者間の事故は、自動車事故とは異なり自賠責保険が適用されないため、対応が特有です。

当事務所では自転車事故の取り扱い実績もあり、粘り強い交渉により適切な後遺障害認定を獲得することができました。

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