Q保険会社より治療費の支払い打ち切りの連絡が来ました。どうしたらいいでしょうか?
まずは主治医に相談し、まだ治療が必要である旨を診断書などで示してもらうことが重要です。
そのうえで、弁護士に相談すれば、保険会社との交渉を通じて治療費の継続を求めたり、後遺障害の申請に備えたりといった対応が可能になります。
「言われたとおりに打ち切りに応じるしかない」と考えず、医師と弁護士に相談することが適切な補償を受ける第一歩になります。
治療費の打ち切りは多くの方が直面する問題です

交通事故に遭い、保険会社の負担で治療を続けていると、ある時点で「そろそろ治療を終えてはどうですか?」と打診されることがあります。
実際にはまだ治療が必要な場合でも、治療費の打ち切りを求められることが少なくありません。
さらに、治療終了後の示談交渉で「治療期間が長すぎる」と主張され、治療費の返還を求められるケースもあります。
治療費は、症状の改善が見込めない状態、いわゆる「症状固定」に至るまで保険会社が負担すべきものです。
症状固定の判断は誰が行うのか
症状固定の時期は、原則として実際に診察を続けている主治医の判断が尊重されます。
なぜなら、医師がこれまでの治療の経過や症状の変化を直接確認しており、医学的な知識をもとに「これ以上の回復は見込めない」と判断できる立場にあるからです。
ただし、医師の判断が医学的に見て明らかに不合理だと考えられる場合には、裁判所が別の時期を症状固定と認めることもあります。
症状固定時期の判断に影響する要素
症状固定の時期は、医師の診断だけで一方的に決まるものではなく、さまざまな事情を踏まえて検討されます。
代表的な要素は次のとおりです。
障害や症状の内容
むちうちなど神経症状が中心の場合と、骨折や靭帯損傷といった器質的な損傷がある場合とでは、必要となる治療期間が大きく異なります。
神経症状は改善が長引きやすい一方で、骨折は画像所見に基づき治癒の目安が判断されやすいといえます。
症状の推移
治療によって症状が明らかに改善している段階では、症状固定に至ったとは考えにくいです。
改善が頭打ちになり、それ以上の回復が期待できなくなった時点が症状固定の目安とされます。
治療や処置の内容
リハビリや投薬など治療方法が適切でなかった場合、回復が遅れていると判断される可能性があります。
その場合、医師や保険会社が示す症状固定時期と、本来あるべき時期とにずれが生じることがあります。
治療経過
通院頻度が徐々に減り、治療効果が一定程度表れている場合には「まだ改善の余地がある」と評価され、症状固定と認められないケースもあります。
逆に、長期間通院しても改善が乏しい場合は、症状固定と判断されやすくなります。
検査結果
骨折や神経の圧迫など、客観的に確認できる異常があると、一般的に治療期間が長引く傾向があります。
画像診断や神経学的検査の結果は、症状固定時期の判断に大きな影響を及ぼします。
通常必要とされる治療期間
同じような症状や損傷について、医学的に一般的とされる治療期間が参考にされます。
例えば、むちうちであれば数か月程度、骨折であれば数か月から半年以上など、過去の臨床経験に基づく目安が考慮されます。
事故の状況
事故の衝撃の大きさも考慮されます。
多方向から衝撃を受けたりした場合には、身体へのダメージが大きく、治療期間も長期化する傾向にあります。
このように、症状固定の判断は一つの基準だけでなく、複数の要素を総合的に見て行われます。
だからこそ、医師や保険会社の判断に任せきりにせず、弁護士に相談して補償に不利が出ないよう備えておくことが大切です。
治療費の打ち切りを打診されたら医師や弁護士に相談を

症状固定の判断は医師の意見が尊重されますが、保険会社が治療費をどこまで負担するかは法律上の問題でもあります。
そのため、保険会社から「治療費を打ち切ります」と言われても、すぐに受け入れる必要はありません。
まずは主治医に症状の見通しを確認し、必要であれば弁護士に相談することをおすすめします。
関連ページ















